光明歌壇 《2020年度》
福岡教化部の歌人達による歌の会、光明歌壇です。
※短歌を募集しています。日々の暮らしの中で感じたことや感動したことを文章にして送っていただいても結構です。
教化部(松尾)までお寄せ下さい。皆様のご投稿を心よりお待ちしております。
光明歌壇 《2020年度 優秀者作品》
2020年度に皆様から投稿していただいた中から年間優秀者ベスト5を紹介いたします
光明歌壇 令和2年度 優秀者作品大内マツノ・選
- 一位 堀 ひろ子(下田川地区連)
花柄のハンカチをマスクに手縫いしてホームの暮らしの華やぐごとし
- 二位 原 精子(東郷地区連)
あの時の声としぐさと忘られぬ共に聞きにし短歌講演(悼西田アサオさん)
- 三位 宮﨑 弘(福岡地区連)
ごみ拾う吾を励ましくるるごと船腹たたくさざ波聞こゆ
- 四位 陣山 充子(行橋東部地区連)
夏風に草木のゆれる山里に鳴き渡りゆく蜩の声
- 五位 木下 恵美子(行橋東部地区連)
久々に夫と息子の将棋さす駒音きこゆ梅雨ふかき夜
光明歌壇 《2021年3月》
光明歌壇大内マツノ・選
- 友よりの手作りマスク花柄を施設に送り来手に取りて見つ原 精子(東郷地区連)
- 後ろ手に電気を消せるエコの癖「居るよ」と妻の声闇より聞こゆ宮﨑 弘(福岡地区連)
- 夕暮るる茜の色の稜線にしばし佇む秋深まりて稲葉 さつき(行橋東部地区連)
- 幼子が吹くシャボン玉風に乗り鴨の浮かべる川面に着きぬ堀 ひろ子(下田川地区連)
- 冬の日の波打ち際に佇みぬ遠く出でゆく船ひとつ見ゆ陣山 充子(行橋東部地区連)
光明歌壇 《2021年2月》
光明歌壇大内マツノ・選
- 昨夜温(さくやぬく)めくれたる湯たんぽ朝には足の先にて蹴り出している宮﨑 弘(福岡地区連)
- 深緑の湯呑を描く在りし日の夫を思うしばし眺めて原 精子(東郷地区連)
- 鶯の鳴く裏庭を離れ来てホームの巡り春寒き朝堀 ひろ子(下田川地区連)
- 鴨いくつ浮かぶ川面を素枯れたる薄(すすき)が揺るる冬の午すぎ木下 美恵子(行橋東部地区連)
- 川岸の穂先に光る数珠玉の色なつかしくゆっくり歩む中村 智子(勝山地区連)
光明歌壇 《2021年1月》
光明歌壇大内マツノ・選
- 米寿には元気で歩けと贈られし軽やかなシューズ秋を踏みしむ堀 ひろ子(下田川地区連)
- 稲刈りの体験授業支度する子どもの声に秋深まれり中村 智子(勝山地区連)
- リハビリとリュックを背負い散歩する友の背中に夕日がさせり木下 美恵子(行橋東部地区連)
- 懐かしき亡き友の家朽ち果てて今年の秋の深まりて行く山田 敬子(築上地区連)
- 仲秋に読経聞こえる寺庭に今年もさける曼珠沙華の赤陣山 充子(行橋東部地区連)
光明歌壇 《2020年12月》
光明歌壇大内マツノ・選
- 雨降れる中洲に家鴨は自が首を悲しきものの如くに振れり
- 反抗をしてくる塾生(せいと)に真向かえば吾を見る眼の澄みきりている
- 山鳩のくぐもる声の聞こえ来る夫(つま)かと思う母かとも思う
- 緋目高は月の欠片を飲み込みて水底へまた沈みゆきたり
光明歌壇 《2020年11月》
光明歌壇大内マツノ・選
- 体調を崩せる我はなかなかに起き上がれねば天井をみつ原 精子(東郷地区連)
- 畦道を赤々と咲く彼岸花雨止みてのち墓参りせり中村 智子(勝山地区連)
- ようやくに病の癒えて歩みいる木々の緑の香れる道を木下 美恵子(行橋東部地区連)
- 秋となりチューリップ一〇〇球植え終えて心はずみて春を待ちいる山田 敬子(築上地区連)
- 冬晴れの木立の枝を見あぐれば四・五羽の雀さえずりており稲葉 さつき(行橋東部地区連)
光明歌壇 《2020年10月》
光明歌壇大内マツノ・選
- 草取りをひと息つきて見上ぐれば柿の実いくつ色付くを待つ宮﨑 弘(福岡地区連)
- 梅雨明けて遠く来たれる高原の山の青さに癒さるるごとし木下 美恵子(行橋東部地区連)
- 花柄のハンカチをマスクに手縫いしてホームの暮しの華やぐごとし堀 ひろ子(下田川地区連)
- マスク取り深呼吸せり青空は一筋の雲どこまでも続く陣山 充子(行橋東部地区連)
- 朱のいろ艶やかにしてジョウビタキ駐車場を越えてゆきたり𠩤 精子(東郷地区連)
光明歌壇 《2020年9月》
光明歌壇大内マツノ・選
- 縄跳びの子を見守りている母の団地の午後が窓ごしにみゆ原 精子(東郷地区連)
- 玉葱の季節は母の好みたるケチャップ炒めを作りて食ぶる木下 美恵子(行橋東部地区連)
- ハトを育てて戦後生き抜きし母を折々思うことあり堀 ひろ子(下田川地区連)
- ボランティアの吸殻拾う道端に紫色の松葉海蘭(マツバウンラン)宮﨑 弘(福岡地区連)
- 夏風に草木のゆれる山里に鳴き渡りゆく蜩の声陣山 充子(行橋東部地区連)
光明歌壇 《2020年8月》
光明歌壇大内マツノ・選
- あの時の声としぐさと忘られぬ共に聞きにし短歌講演(悼 西田アサオさん)原 精子(東郷地区連)
- 久々に夫と息子の将棋さす駒音きこゆ梅雨ふかき夜木下 美恵子(行橋東部地区連)
- 逢えぬまま喜寿となりたる遠く住む兄の声をば電話に聞けり陣山 充子(行橋東部地区連)
- ゴミ拾う吾れを励ましくるるごと船腹たたくさざ波聞こゆ宮﨑 弘(福岡地区連)
- なわとびの練習をする幼子の声の聞え来六月の風に中村 智子(勝山地区連)
光明歌壇 《2020年7月》
光明歌壇大内マツノ・選
- 手づくりの眼鏡立てはプレゼント継ぎ接ぐ柄のあまた楽しき原 精子(東郷地区連)
- 麦畑の実れる朝明(あさげ)大空の西に金星東に望月宮﨑 弘(福岡地区連)
- 庭隅の小さき畑に野菜苗を八種類植え夏を待ちいる稲葉 さつき(行橋東部地区連)
- 庭隅に去年植えたる紫蘭咲くを雨の上がれる窓より見たり中村 智子(勝山地区連)
- 夕ぐるる道老い夫と山藤を遠くに見つつ家路をいそぐ陣山 充子(行橋東部地区連)
光明歌壇 《2020年6月》
光明歌壇大内マツノ・選
- 神の声は自然に生きよと言うならん新しき病流行るこの世を中富 泰州(筑豊地区連)
- 一日かけ手作りマスク縫いあげぬしばらく会えぬ友に送らむ陣山 充子(行橋東部地区連)
- 灯点して久女の句集読みつぎぬ春まだ寒き夜更けにして堀 ひろ子(下田川地区連)
- 産土の宮に参りておちょうずの桜を柄杓もて掬いたり宮﨑 弘(福岡地区連)
- 畦道の白詰草の咲く頃に術後の兄の知らせを待てり中村 智子(勝山地区連)