光明歌壇 《2024年度》

福岡教化部の歌人達による歌の会、光明歌壇です。

※毎月第4木曜日にLINEで「ひまわり短歌会」を開催しております。
 私も一緒に参加したいと言う方がいらっしゃいましたら、教化部・松尾までご連絡ください。


光明歌壇 《2024年11月》

光明歌壇大内マツノ・選
  • 亡き母の小花のブラウス羽織るとき母に似てきし鏡の中に木下 美恵子(行橋東部地区連)
  • 台風の過ぎて静もる草原にクズの花房彼方此方おちこちに見ゆ薛 光子(福間地区連)
  • 一人住む知人に弁当持ち寄れば小松菜茹でて鰹を切りぬ田上 めぐみ(新宮地区連)
  • 待ち待ちしオクラの花の数個咲き実の膨らむを朝々見おり釣屋 敏子(福間地区連)
  • 傷つきし鴉の住処すみかの池垣に夕べ通ればうずくまりおり西野 悦子(天神地区連)

光明歌壇 《2024年10月》

光明歌壇大内マツノ・選
  • 走行中地震を告げるアラーム音当地出張の夫より無事と田上 めぐみ(新宮地区連)
  • 若き層汗をふきつつ法鼓法鼓ほつく打つ右手休めず真言唱る西野 悦子(天神地区連)
  • 三十年みそとせを経て色褪せしかど提灯義父ちちの初盆にあつらえしもの薛 光子(福間地区連)
  • 被爆したソメイヨシノの木の下でよう生きとったと婆さすりおり上田 道子(宗像地区連)
  • うちわ持ちゆるりと歩く夕涼み冷たきビール一杯欲しい志岐 咲江(和白地区連)

光明歌壇 《2024年9月》

光明歌壇大内マツノ・選
  • 渦潮を西海橋より覗き込み見れば海面うなもは青し青しも志岐 咲江(和白地区連)
  • 朝食の支度の途中鳴き出でし蝉声せんせいたかし空やぶるがに秋月 慶子(岡垣地区連)
  • コチという名だけ知りたるうおを買いスマホに調べあら炊きにする薛 光子(福間地区連)
  • 鮮やかなカンナの赤が目にしみる寡黙なりしよ父の命日木下 美恵子(行橋東部地区連)
  • 夕暮るる路地に響けるドッジボール炎暑を避ける児の夏休み宮森 和子(勝山地区連)

光明歌壇 《2024年8月》

光明歌壇大内マツノ・選
  • 航海の無事を祈りて姉妹船すれ違うとき汽笛鳴らせり鈴木 昭子(春日東地区連)
  • 夏草が街の花壇にたくましく勢い増して緑なしたり西野 悦子(天神地区連)
  • 乗客らはスマホかざして皆下車す我入れし硬貨車内にひびく宮森 和子(勝山地区連)
  • つるバラの白き大輪枝伸ばし朝露光る小さき庭で志岐 咲江(和白地区連)
  • 五月晴れに街はどんたくに浮かれおり我が家は庭木の剪定励む田上 めぐみ(新宮地区連)

光明歌壇 《2024年7月》

光明歌壇大内マツノ・選
  • 五月晴れレモンの花が咲きました今年は何個実をつけるかな壬生 ちどり(荒江地区連)
  • ご近所のひじき若布のおすそ分け潮の香りて春のご馳走秋月 慶子(岡垣地区連)
  • この一年からとなりたる巣の箱に今日蜜蜂が出入り始める薛 光子(福間地区連)
  • 孫の作るクリームシチュー香り満ち美味しくなれと言う声聞こゆ鈴木 昭子(春日東地区連)
  • 三度目の手術を終えし友の声明日からリハビリ頑張るからとぞ木下 美恵子(行橋東部地区連)

光明歌壇 《2024年6月》

光明歌壇大内マツノ・選
  • 神さぶる石の鳥居に迎えられ壱岐の島には山桜散る西野 悦子(天神地区連)
  • 学童に通いし孫は母の帰宅「6時5分」に笑みを浮かべり宮森 和子(勝山地区連)
  • 菜を洗う水の温みて手にやさし春陽背に受け仕事捗る薛 光子(福間地区連)
  • 春くれば母育てたる不揃いの新玉ねぎの味噌汁うまし木下 美恵子(行橋東部地区連)
  • 母逝きて二十五年の時経ちぬ僧侶に合わせ阿弥陀経誦す田上 めぐみ(新宮地区連)

光明歌壇 《2024年5月》

光明歌壇大内マツノ・選
  • 庭にう蓬を摘みて草餅に命日のきょう義母ははに供える薛 光子(福間地区連)
  • 満開の菜の花ゆるる河川敷行き交う人の足取り軽し稲葉 さつき(行橋東部地区連)
  • 道ながら足もと分けてつくし摘む時を忘れて袋一杯秋月 慶子(岡垣地区連)
  • 妹は母の使いし腕時計修理を終えて手渡しくれつ中村 智子(勝山地区連)
  • デイサービスに夫と歩いたこの道を独り歩けば涙こぼるる上田 道子(宗像地区連)

光明歌壇 《2024年4月》

光明歌壇大内マツノ・選
  • 寒さ増し美味大根をいかと炊き夕餉の膳の箸進むなり鈴木 昭子(春日東地区連)
  • 静かなる昼餉の後のここちよさ夫の寝息の炬燵に聞こゆ上田 道子(宗像地区連)
  • 老いし母を抱きし時の温もりがよみがえり来る今日十七回忌木下 美恵子(行橋東部地区連)
  • 病院の窓越しに見るさっそうと行き交う人に姿重ねて志岐 咲江(和白地区連)
  • 七十路過ぎ兄妹集いて寒餅をつくるが嬉し母を継ぎつつ稲葉 さつき(行橋東部地区連)