本書は、著者自身の開腹手術の体験から気づいた、日本人の肚意識について論考します。
日本文化に根ざしている肚意識、西洋人の語る肚意識、そして老子の語る肚意識に光をあて、そこに共通するものは何かを、ユニークな視点から探ってゆきます。
英米文学を生業としながら老子を通して東洋思想に回帰した著者は、頭思考中心の現代において、肚に意識をおくことは、命の源と直結することであると解説します。そこからバランスある人間の生き方が生まれ、それは大いなるタオ(道)に繋がるのであると平易に語っています。
【目次より】
まえがき
1 新しい気づき
2 肚と笑い
3 SEPPUKU
4 「考える」と「思う」―― ユング、ワッツ、ウェーレー
a 頭と肚
b カール・グスタフ・ユング
c アラン・ワッツ
d アーサー・ウェーレー
5 心は流動する――タオイズム
6 自我と肚――デュルクハイム
7 太陽神経叢――D・H・ロレンス
8 肚とタオ――老 子
9 母について――対 話
a 母を語る
b 戦死した人たち
10 母権制社会――西と東
11 優しさと柔らかさ
12 「嫁入り観音」
おわりに
あとがき