韓国の優れた比較文化論者が日本文化の深い杜に分け入った日本オリジナルへの旅とは
日本の伝統工芸や伝統芸能の発祥の地を訪ねて、日本文化の精神的な源泉を探る。目に見えないものへの畏敬と移ろいゆく自然との一体感、もののあわれなど、日本人の持つ繊細な感性、感受性など、一見はかないプリミティブな精神性こそが、日本文化の根底を連綿として支えてきたのではないかと、著者は驚きと賛同をもって指摘する。
日常生活の中に溶け込んでいて日本人が当たり前だと思っている生活様式、ものの考え方などを異文化の鏡に照らしたとき、自然との共生、異教や他民族を排斥しない協調性、微妙な美意識などは日本独特のものであると、韓国の優れた比較文化論者の鋭い審美眼が、日本文化の特質を浮き彫りにする。
【目次より】
はじめに――縄文時代に文化的な統一を形成していた日本
1 伝統と未来をつなぐ自然の技法
自然技術の伝統
備前長船の郷を訪ねて
伝統と未来をつなぐ萩焼の郷
京の和菓子(1)京の和菓子(2)
にぎり寿司職人は粋が勝負
家元と一家相伝の世界
空手という「無限の道」を行く喜び
古典いけばなの様式は美意識を喚起する
仏壇は理想世界への入り口
着物は日本美のトータルコーディネート
日本的ビジネスと人間関係
2 自然と文化が融けあう風景
外来文化受容のベースをなすオリジナリティ
茶陶唐津の面白み
古伊万里――華麗な形姿の躍動する美しさ
有田――朝鮮陶工を神と祀る町の誇り
木曽路を行く(1)
木曽路を行く(2)
温泉の安らぎが呼び覚ます原初の記憶
高野山の宿坊と精進料理
長崎――天然の良港がもたらした異文化
3 見立てられたリアリティ
独特な自然景観と文化複合
伊勢の神宮(1)
伊勢の神宮(2)日本庭園――もう一つの自然の楽しみ
茶席という場の楽しみ(1)
茶席という場の楽しみ(2)
お茶を介しての素敵な出会い
急傾斜地の庭の魅力
ビルの内部の日本庭園