薄められたニヒリズムの戦後日本に、古典主義的精神で臨んだ戦後の代表的保守派知識人・福田恆存の「精神の核」を浮き彫りにし、現下日本の根源的問題を考察する本格評論。中村星湖賞受賞。
【目次より】
プロローグ 古典主義的精神の形―乱世に福田恒存を読む
1 言葉の劇―ニヒリズムを超えて
2 二元論のダイナミズム―思索の構造
3 現状肯定論との格闘―頽廃への憎悪
4 不可欠の物語―歴史を貫流するもの
5 価値絶滅時代の平和主義―生命を超えるもの
6 論争のすすめ―言葉の政治学
7 演戯と自由―仮面と素面
8 懐疑と確信―相対主義の泥沼
9 超越を遠望する精神―近代批評の「詩と真実」
10 創造行為としての翻訳―平和的掠奪行為
11 国語改革を排す―敗戦国の過剰反省
12 人間の「否定因」―陰画としての理想
補遺(処女評論・横光利一論/ゴルバチョフ擁護と保守の神髄)