自らの神秘的体験を信じ、文章表現の源泉とした小林秀雄。その処女作品から絶筆に至る主要作品の読解を通して、その中に流れる〈宗教的魂〉を浮き彫りにする。新しい視点の小林秀雄論。
【目次より】
第1章 批評の誕生――『蛸の自殺』から『様々なる意匠』へ
第2章 二つの『罪と罰』――ドストエフスキー論の展開
第3章 書くという秘儀のゆくえ――『おふえりや遺文』の哀しみ
第4章 原型としての語り――『Xへの手紙』を読む
第5章 無常を超えて――詩魂との回合
第6章 魂の安らぎ――「西行」と「実朝」の祈り
第7章 神秘的経験と言語表現――語りえぬものの息吹き
第8章 分析の果てに――人間の学への道
第9章 神なるものへの応答――『本居宣長』を流れる調べ
第10章 信じることと宗教的態度と――意味の摸索